ジャッカル ティモン 2025年新色【芸北神楽】開発ストーリー

 2025年2月28日

こんにちは、パゴス本店、重森です。

この春、いよいよ私の監修したジャッカル TIMONの新色【芸北神楽】が発売されます。

このカラーに込めた思いや狙いを説明しようと思います。

芸北神楽

2024.7月初旬。

㈱ジャッカル開発部の藤松さん、フィールドテスターの飛田さんと一緒に西中国山地のトラウトを狙いに行く事があった。

当日は大雨でどこも大増水。普通なら釣りに行く状況ではないが、それでも何とか釣りになるポイントを自分のレパートリーの中から探し、貧果ではあるがアマゴの顔を見ることができた。

その晩、3人でお好み焼きを食べながらお酒を飲んで反省会?をしている最中に、「中国地方、特に芸北で良く効くカラーって何ですか?」という話からこの【芸北神楽】の開発がスタートした。

まず個人的にどこのフィールドに行っても自分のパイロットカラーはテネシーシャッドだった事もあり、ベースカラーはテネシーシャッドとする事からスタートした。

ベースのイメージが決まった後はホロのパターンだ。

藤松さんから人気カラー【カギロイアユ】にも採用されているクリアーメインに一部ホロを施したパターンを使用しても良いという話もあり、その2つを合体させて出来上がったのがカギロイテネシーだった。

これが後の【芸北神楽】最初のサンプルである。

(この頃はまだカギロイテネシーという名前で開発が進んでいた。)

芸北神楽ファーストプロト

そのままでも十分に釣れるとは思うが、西中国山地、特に芸北で効果的なカラーを想定した際、改善点やどうしても譲れない点が見えてきた。

同時に芸北に特化したカラーと言う事で、何か芸北らしさを取り入れたいとも考えていた。

試行錯誤した結果、最終的に各部位に採用したカラーを説明すると下記のようになる。

◇背中

芸北神楽背中

チャートやピンク、白等、派手なカラーにすれば視認性も上がり、操作性も上がるのは十分理解している。

しかし、魚が口を使いやすい色かと言えば一概にYESとも言えない。むしろ底色、水色に合わせた方が魚からの反応は良い事が多い。

芸北エリアは決してジンクリアな水色ではない。高低差の少ない高原を流れ、田園も多いが故に濁りも入りやすい。

底色も茶褐色系の岩盤エリアに砂が混じる場所が多い。そこに馴染むカラーとして何とも言えないダークオリーブ系のカラーを採用した。


◇側面

芸北神楽横

ナチュラルに魚を誘う色として作りたかったので極力透明感を残したかった。

ギラギラと反射するカラーは世の中に沢山あるので、相反するカラーを目指した。

また、平打ち時に光が透ける事で、光を通さないベリー部のカラーとの明滅効果も狙っている。

チェイスした魚に対して、透け感のあるボディーが過度なプレッシャーを与えずに最後まで興味を持たせ続けれるのではないかと考えている。


◇腹部

芸北神楽腹

このカラーで一番こだわった部分である。

まずバイトマーカー、シルエットを強く出す為にオレンジベリーは外せない。

といっても底面全部塗れば良いという訳ではない。あくまで差し色程度で魚にアピールすれば良い。

そして、喉元には赤を吹いてインパクトを与えた。

ベリー部の大部分はパールホワイトを吹いている。芸北エリアはその底質、水色もありパールホワイトが効く場面が少なくない。

特に雨後の濁り+晴天の大型が狙って釣れるタイミングでは柔らかく光ってアピールするパールホワイトは必要不可欠なカラーだと考えている。

僅かなオレンジの範囲とパールホワイトの範囲はかなり拘って調整した部分だ。



◇テール

芸北神楽テール

芸北エリアにはワカサギの住むダム湖がある。そこには以前からランドロックサツキマスが生息し、春にはそれを狙うアングラーで賑わっている。

ワカサギをイミテートする為にもわずかに紫をテールに施した。

また、テールに色を吹く事でテールを振っているルアーが魚からもアングラー側からも少しでも確認しやすくする狙いもある。

そして芸北に初夏の訪れを知らせるカキツバタの色をイメージしている事も付け加えておこう。



◇顔

芸北神楽顔

実は最後まで迷った部分だ。

背中から繋がって塗装する事も考えたが、あえて頭は黒を吹き、シャープさを出す反面、頬にシルバーを吹いてメリハリをつける事にした。

頭の黒、頬のシルバー、喉元の赤。まさしく芸北地域の伝統芸能【芸北神楽】の煌びやかな衣装のイメージをそのまま落とし込む事で、遂に納得のカラーが完成したのである。

芸北神楽側面

視覚的に派手な色を使ってギラギラと反射してアングラー、魚両方にアピールするルアーが多い中、この決して見やすい色でもなく、地味な色が効くシチュエーションが必ず全国各地にあるはずだ。

とにかく食わせと言う事に重点を置いたこのカラー。実際にテスト時に食わせた魚はバイトが深かったというのも食わせの要素が効いているのではないかと思っている。

拘りの詰まったこのカラーであなたにとってのメモリアルフィッシュと出会って欲しいものである。


最後に、今回【芸北神楽】を作るにあたり、何度もやり取りし、調整を続け、わがままを聞いてもらった株式会社ジャッカル 開発部の皆様、

【芸北神楽】というネーミング使用を快く受け入れて下さった北広島町関係者の方々、心よりお礼申し上げます。

北広島町観光協会様HPより https://kitahiro.jp/about/kagura.html