初挑戦の江の川でサクラサク!(エース池内釣行記)
4月17日早朝。
夜が明けきらない中、去年の「岐阜釣行」でも大変お世話になったお客さんのHさん宅で待ち合わせ、Hさんの運転で自身初となる島根県「江の川」へ。
道中山間部の気温計は3℃の表示、沿岸部では桜も散り始めているが山間部の早朝はまだ肌寒い。
今年のサクラマス釣行は今回で4度目、もちろんキャッチした事はなくサクラマスらしい反応も全く感じないままシーズンを折り返していた。
川に到着と同時に陽が上がりはじめ、はやる気持ちを抑えながら準備を済ませ河原に降り立った。
シーズン初期からこの河川を開拓してきたHさんに地形をアドバイスしていただき目ぼしい流れにルアーを流し込む。
いつ来ても良いようにキャスト後は細かくドラグを調整、ディープダイバーを流れの中で大きくジャークして少し出る位に設定した。
しかし期待とは裏腹に生命反応が無い、自分より下流を探っていたHさんにも反応は無いようだ。
遡上魚のゴールデンタイムである早朝から昼前までの時間帯にチェックしておきたいポイントが何箇所かあるので一箇所に長居はせずに移動を繰り返す。
そして到着した3箇所目のポイント、ここは上流からの長い瀬が続き川幅が狭まり流れが集約され太い流れに変わるスポット。
サクラマスではないが同じ遡上鱒のサツキマスでは似たような流れの中で何回も釣った事があるのでかなり釣れそうな雰囲気を感じる。
自分はその流れに入らせてもらいHさんは下流に出来た瀬と、一つの長いエリアをシェアして釣っていく。
まだ時間帯も早く活性が高い個体が居れば表層でも食ってくると期待して、先ずは瀬尻から川幅が狭くなる部分をショートリップのシュガーミノーSG90Fで釣り下っていく。
しかし数投しても反応は返ってこない、少し下ると見た目の流速は落ち着いて見えるが川幅が狭まった分流れの押しが幾分強まっている。
狙うはその流芯と流れによってエグられて出来た駆け上がり。
その流れを前にルアーを強い流れにも負けず流芯の向こう側にアプローチ出来るシュマリMD90Fにチェンジ。
カラーは少しステインぎみの水色にゴールド系を選びそうになるがフラッシングが抑え気味のタイガーカラーをチョイス、陽が上がり強くなってきた日差しの中ではゴールドでは少しアピールが強い様に思えた。
バスルアーではお馴染みのカラーではあるがトラウトルアーには馴染みの少ないこのカラー、実はサクラマスの聖地として名高い九頭竜川でもかなりの高実績を上げているカラーのひとつ。
そのシュマリの2投目、流芯から少し抜けかかった所で絵に描いた様に綺麗なターンが決まった瞬間、ズドンッ!とティップが押さえ込まれた。
反射的に合わせを入れると独特の首振りがグン!グン!と手元に伝わってきた、サクラマスだ!この時点で頭は真っ白!
とにかくラインテンションをキープする事だけを心掛ける、ふとロッドに目をやるとバット部分からフルベンド!相手の動きに合わせてティップが水中に突き刺さりDVDなどで見ていた光景が実際に起こっている!
ようやく首振りが終わると流れを味方に付け下流へ鋭い突っ込みを見せる、自分も一緒に下って行きそうになったがこのまま一緒に下って下の流れに入れば止められなくなると思いロッドを上流側に倒し耐える。
腰まで立ちこんでのやり取りが続きようやく魚が上流に顔を向けてくれた、徐々に相手との距離が詰まる早く魚体を確認したい!最初の動きで本命と思っていても鯉のスレ掛かりではないかと少しだけ疑いの心も持っていた。
しかし見に映った姿は鯉ではなく大型のトラウト、紛れも無いサクラマス!立ち込んだ自分の5mほど先の駆け上がりに沿って上流へ上っていく姿はまだまだ余力を残している様に見えた。
浮かせるタイミング、ネットを出すタイミング、もし急に手前で突っ込んだら…と沢山の事が一気に頭を駆け巡る。
何度も動画などでネットイン寸前のバラシを見ていたのでネットを持つ手が震える、尾から掬おうと思い魚を上流側に誘導するが手前の流れが弱くうまく魚が浮いてこない。
フッキングはテールフックのみで決して深いバイトとは言えない状態、手前に寄って顔が浮いた一瞬の隙にネットを水中へ突っ込んで一気に掬い上げた!
遂にやった!掬った瞬間は言葉も出ない時間が止まった感覚だった、振り向き河原に向かう途中に「よっしゃー!」と自然と声が出た。
「去年の九頭竜川」から始まったサクラマス釣行、2年目にして夢にまで見たサクラマス!多くのトラウトアングラーにとって孤高の存在!
下流で釣っていたHさんもしばらくして異変に気付き駆けつけてくれた。
今までに九頭竜川で何本ものサクラマスをキャッチしているHさんも自分の事の様に喜んでくれている!
サイズは60㎝。最大70㎝を超える事もあるサクラマスの中では特大サイズではないが自分の中では今までに釣ったどの魚よりも感動が大きい。
Hさんの的確なアドバイスで魚を弱らせないよう河原に生簀を作りサクラマスを落ち着かせる。
ランディングして数分経ったがまだ手の震えが収まっていない。
あらためてその神々しい姿に見とれる、魚体が大きいだけではなく全てにおいて格好良い魚!
釣った瞬間はまだシーライス(海の寄生虫)が着いていた、一気に川を遡上してきた証だ。
野性味溢れる厳つい表情、骨格、顎は強く鋭い歯がまるで獣の様な印象。
流れを見方に付ける全身が筋肉のような体つき、尾びれにも銀色が乗っていて光を受けてなんとも言えない美しさに輝いていた。
夢の様な出会いから最高のひと時を過ごさせてくれた相手に最大の感謝を込めてリリース。
今回ガイドしてくれたHさん、この方が居なければ出会えていない魚でした本当に感謝です!
その後は夕方まで振って上流で一発激しいバイトあったが乗せられず、ストップフィッシング。
4月中盤になりシーズン終盤に差し掛かり、来シーズンへの楽しみを膨らませてくれる最高の思い出になった釣行でした。
※河川で釣りをするには遊漁証が必要です。
また特に早朝から釣りをされる場合は地元住民の方への騒音の問題。
通行の妨げや農作業の妨げにならない様に駐車スペースなども考えて釣りを楽しみましょう。